開業1周年のご報告




 開業1周年を迎えて

こんにちは。さいたま市西区で福祉タクシー・民間救急を営んでおります、バグースケアタクシーです。
おかげさまで、8月を過ぎ 開業1周年 を迎えることができました。

「1年やってきてどうですか?」とよく聞かれるのですが、正直に言えば 不安と挑戦の繰り返し でした。
ただ、それ以上に、利用者様やご家族の言葉に励まされ、地域の看護師さんやケアマネさん同業者さんに支えていただきながら、なんとか続けてこられた1年でした。

ここでは、救急救命士としての経験を背景に、この1年間で感じたこと、そして「民間救急」の可能性についてまとめてみたいと思います。


 行政救急から民間救急へ ― なぜ始めたのか

私は消防行政に十数年勤め、 救急救命士として5000件以上の救急出場 を経験しました。
そこで感じたのは、「民間救急の可能性」と「救急救命士の活躍の場を広げたい」という強い想いです。


救急現場では常に「一分一秒をどう縮めるか」に追われますが、全国的には 救急車の現場到着時間が年々伸びている という課題があります。
総務省消防庁の統計によると、救急車の現場到着時間の全国平均はここ10年で8.5分から10.0分となっています。
※(2014年〜2023年)


加えて、救急隊員の労務管理も様々な対策をしている状況ではありますが、 現場は確実に疲弊しているのではないかと感じています。


そんな中、かつて私は 患者等搬送事業(民間救急)に関わる部署 に勤めていたことがあります。
その時に感じたのは「民間救急の力をもっと活用できるのではないか?」という期待でした。

ただ、指導する立場から一歩踏み出し、いざ自分が 一事業者として生活できるのか? という大きな不安を抱えてのスタートでした。


 軽自動車1台からの挑戦と不安

開業時に用意できた車両は 軽自動車 でした。
「軽で大丈夫なの?」とよく聞かれます。確かに、大型車両に比べれば積載や空間は限られています。

ですが、実際に使ってみると、住宅街の狭い道や施設の送迎スペースなど、軽自動車ならではの 小回りの良さ が活きる場面も多くありました。

とはいえ、「軽で事業を続けていけるのか?」という不安は、今も正直に言えばあります。
それでも「まずはできることをやってみる」ことが、1年継続できた理由だと感じています。


 看護師さんやケアマネさん同業者さんの力添え

この1年を振り返って一番感じるのは、周りの方々の優しさ です。
特に、利用者様を紹介してくださる 看護師さんやケアマネさん同業者さんの存在は本当に大きいと感じました。

電話一本で「お願いできますか?」と依頼をいただけること。
看護師さんの専門的な知識・技術によるサポートがあるからこそできるサービスや、
利用者様から「看護師さんと救命士さんがいるから安心できる」といった言葉をいただけたこと。
何よりの励みになっています。


 救急隊の負担軽減と、民間救急の役割

「救急車を呼ぶほどではないけれど、自力での移動は難しい」
こうしたケースが、実はとても多いと感じています。

民間救急は、こうしたニーズに応えることで 救急隊の負担軽減 にもつながります。
器具による気道確保や薬剤投与などの特定行為等は行えないものの、
搬送中・訪問時の急変にも限られた時間で情報をまとめ・必要な応急手当を行い、冷静に対応できる。

これが 民間の救急救命士ならではの強み だと感じています。


 利用者様の声に支えられて

この仕事を続けられているのは、何より 利用者様の声 です。

「あなたにお願いしてよかった」
「安心して病院に行けました」
「出先で救急車が必要な時になっても救命士さんがそばにいてくれるから安心」


正直、当初転院搬送などを主軸とした仕事が続けられない時期もありましたが、そのたびに「やっていてよかった」と感じさせてくれるのは利用者様の存在でした。


 民間の救急救命士でもできること・可能性

救急救命士の資格を持つ人間が「消防以外の場所で活躍する」ことは、病院内救命士へと拡大したとはいえ、まだまだ一般的ではありません。

しかし、民間救急にこそ可能性がある と私は信じています。

プレホスピタルケア(病院前救護)の経験を持つ人材が地域で動けることは、利用者様にとっても、医療機関にとってもプラスになるはずです。


 今後について ― 2年目の挑戦

2年目に入った今、私の目標はシンプルです。
「より多くの方に感謝される仕事をする」こと。

そのために、搬送だけでなく お出かけ支援地域イベントとの連携 にも挑戦していきたいと考えています。

救急救命士としての経験を武器にしながらも、「民間だからできる柔軟な支援」を広げていきたい。
そして、救急救命士という資格の 新しい活躍の場所を切り開くことが、私の挑戦です。


 まとめ

開業1周年を迎え、振り返れば不安の連続でした。
しかし、その中で見つけたのは「民間救急には大きな可能性がある」ということ。

救急隊の負担を軽減し、地域の医療や介護を支える存在として、私たち民間の救急救命士にもできることは確かにあります。

2年目も、利用者様やご家族、医療・介護職の皆さまに感謝されるよう、一歩ずつ進んでいきます。

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